【Aを選択】
アタシは「変態!」とレナードの顔面を殴った。
レナード
「ぐふっっっ!!!」
吹っ飛んだレナードを押し退け、アタシは部屋の窓に足をかける。
ルディ
「もう、アタシ帰る!!」
レナード
「ご、ごめん、ルディ…」
ルディ
「レナードの変態っ!」
アタシは翼を広げて空に飛び立った。
もう、しばらくは雨の屋敷に近付いてやるもんか!!
ルディ
「…あー、しまった」
レナードのシャツ、着たままだった…
これ返さないとなぁ。
ルディ
「…いつか返せばいいか。いつか、な」
そのいつかが、いつ来るか分かんないけどな!!
+++++
数年後
陸地の階のとある家にて。
引っ越してきたばかりのアタシと旦那。
ルディ
「まさかな。アタシたち、結婚するなんてな」
レナード
「本当にな! いろいろあったよなぁ〜。いろいろ」
ルディ
「本当にな。説明しきれないくらい、いろいろな」
アタシとレナードは結婚したのだ。
紆余曲折あったけど。
本当にいろいろあったけど。
結婚した。
荷解きをしながら、アタシは言う。
ルディ
「あ、そうだ。レナードには渡さないといけない物があった」
レナード
「え?」
ルディ
「これ」
いつかの日に、着て帰ってしまったTシャツ。
まだレナードに恋愛感情を持つ前の…いや、きっかけだったかもしれないTシャツ。
レナードは驚く。
レナード
「あれ!? 失くしたと思ってたTシャツじゃん!! ルディが持ってたのか!!」
ルディ
「おい! 忘れたのかよ!! このTシャツをアタシが持って行った経緯!!」
レナード
「へ? なんだっけ?」
こいつ…忘れてやがる…!!!
アタシはずっと覚えてたのに!
だがまぁ、仕方ないか。
あの頃は、まさかアタシたちの関係がこんなことになるなんて思ってもいなかったんだから。
ルディ
「まぁ、忘れたんだったら、思い出させるまでだけどな」
レナード
「??? 本当に覚えてないんだよなぁ」
ルディ
「思い出させてやるよ。今夜な」
ウインクするアタシ。
未だに首を傾げるレナード。
思い出そうが、思い出さなかろうが、今夜が楽しみだ。
END【思い出のTシャツ】