【Aを選択】
ルディ
「わっ! 前の客、カップルだ!! チューしてる!!」
アタシは指差して思わず叫んだ。
男女のカップルのチューである。
ジョシュア
「そういうのは見ないであげなよ…」
ルディ
「見えちゃったんだから仕方ないだろー! っていうか、観覧車って景色見るとこだろうに!」
ジョシュア
「そうかな? 観覧車だからこそ、ああいうこともできるんじゃない?」
ルディ
「そういうもんかぁ…」
ジョシュア
「僕は経験無いけど、観覧車はデートの定番だって聞くし」
アタシはふと思って、ジョシュアを見る。
ルディ
「ジョシュアって、デートとかしたことないんだ」
ジョシュア
「うん。あんまり興味ないし、僕にそういう興味がある人にも、会ったことない」
ルディ
「へぇ〜、意外! ジョシュアって意外と顔良いし、経験があるものかと」
ジョシュア
「女の子と観覧車に乗ったのは、ルディさんが初めてだよ」
ルディ
「マジか! でも、アタシも、男の子と観覧車乗ったのは初めてだよ」
ジョシュア
「そうなんだ。どうだった? 初めての男の子との観覧車は?」
ジョシュアに聞かれて、アタシはうーんと考える。
ルディ
「別になんとも。普通だな」
ジョシュア
「僕も。普通」
だけど、と。
ジョシュアは言った。
ジョシュア
「だからこそ、安心できるかな」
ルディ
「!」
観覧車の終わりが近づいていた。
+++++
観覧車から降りて、ベンチに座るアタシたち。
ジョシュア
「ありがとう、ルディさん。楽しかったよ」
ルディ
「なら良かった。あんなんで良ければ、明日もガイドしてあげるよ」
ジョシュア
「うん。よろしくお願いします。そうだ」
ジョシュアは紙に何か書いて、アタシに渡した。
ジョシュア
「これ、あげるよ」
それはジョシュアの連絡先だった。
アタシは驚く。
ルディ
「いいのか?」
ジョシュア
「うん。ルディさんとは、一緒にいて疲れないし、また陸地の階に来た時にも会いたい」
ルディ
「それは…」
アタシは、まさかと思い、期待してしまった。
だが現実は残酷である。
ジョシュア
「友達として、会いたい」
釘を刺すように、ジョシュアは言った。
まぁ、そうだよな。
ジョシュアと恋仲になんて、なれるわけないよな。
ルディ
「オッケー。アタシの連絡先も教えとくよ。また会おうな」
ジョシュア
「うん」
初めて。
ジョシュアが笑った。
綺麗な笑顔だと思った。
+++++
1年後。
陸地の階の遊園地。
ルディ
「ここにも久々に来るな〜」
ジョシュア
「そうだね」
ルディ
「んじゃ、観覧車乗ろっか」
ジョシュア
「うん」
アタシたちは観覧車へと歩いていく。
アタシとジョシュアと手を繋ぐ。
まだ関係はそこまで深まってないけど、少しづつ、歩み寄っていけたらいいなって思うのだった。
END【思い出の観覧車】