A-A


Aを選択】



アタシは起き上がって、レナードに着せる上着を探した。



ルディ

「レナード、なんか服着なよ。上着くらいあるでしょ?」


レナード

「まぁ、あるっちゃあるけどよー」



アタシは部屋のクローゼットを開けた。

ハンガーにかかっている上着は、ガッツリと冬用のジャケットばかりだった。



ルディ

「せめてスプリングコートとか無いの?」


レナード

「スプリングコート? なんだそれ?」



服の用語が分からないらしい。

レナードならあり得そうなことだ。



ルディ

「じゃあ長袖の服とかは?」


レナード

「それは引き出しの方に入ってる、かなぁ?」


ルディ

「かなぁ、ってなんで曖昧?」


レナード

「半袖のTシャツだったら着るからな」


ルディ

「じゃあそれでいいや。腹さえ出てなければいい」


レナード

「それを言ったらルディも寒そうな格好してるじゃん。寒くないの?」


ルディ

「こういう格好は若いからできるんだよ」



得意げに言った直後。



ルディ

「へっっくしゅん!」



アタシは盛大にくしゃみをした。

笑うレナード。



レナード

「あはは! ルディもやっぱ寒いんじゃん!」


ルディ

「さっきまで布団で暖まってたからだー!」


レナード

「ルディも俺の服着ていいぞ」


ルディ

「へ?」



言うと、レナードも一緒に、クローゼットの服を見にくる。



レナード

「どれがいいかな〜」


ルディ

「あ、アタシはいいよ! 寒くないし!」


レナード

「とりあえず、これ着といたら?」



適当に引っ張り出したTシャツを着せられる。

レナードの匂いがした。

っていうか、でかい。

Tシャツだけど、アタシが着たらミニスカートくらい丈がある。


レナード、こんなに体格良いんだ

彼の体の大きさをTシャツの大きさで知ってしまい、なんだか変な気分になる。



レナード

「こうやって見ると、ルディ、ちっちゃいな!」


レナード

「レナードがでかいんだよ!」


レナード

「俺もなんか着とくか」


ルディ

「アタシが選んでやるよ!」



アタシは引き出しの中を漁る。

その時だった。


布ではない質感を指先に感じた。



ルディ

「ん?」



かき分ければ、そこには、本があった。

水着の女性が色っぽく写っている。

薄い本



ルディ

「ちょっっっっ!!!!」



アタシは顔が破裂しそうなほど熱くなる。

レナードは宝物でも見つけたかのように、驚いた。



レナード

「あっ! こんなとこにあった!!」


ルディ

「あった、じゃないだろ!! エロ本の隠し場所くらい覚えとけよ!!!」



レナードは嬉しそうに本を手にして言う。



レナード

「でもこれ、エロ本って言うほどエロくはないんだぜ?」


ルディ

「じゃあなんで隠してあったんだよ!」


レナード

「俺にとってはエロ本だから」


ルディ

「ならエロ本でいいだろ!!」



レナードはペラペラと漫画でも見るかのように本をめくる。

爽やかな声色で、感想を言った。



レナード

「あー、やっぱ、いいなぁ。これ」


ルディ

「女子の目の前でエロ本鑑賞するな!!」


レナード

「久しぶりだから、中身確認しときたくて」


ルディ

「後でやれ!!!」



アタシはレナードのエロ本を取り上げた。

その時に、中身を見てしまった。


明らかに男の部屋の風景に、大きなシャツを着た女性の写真。

シャツをたくし上げて、胸の下の部分下乳を見せている写真



ルディ

「うわあああああ!!!」


レナード

「あーあー。そんな驚くか?」


ルディ

「お前、そういう趣味があったのかっっ!?!!」


レナード

「そんなにヤバい趣味かなぁ?」


ルディ

「っていうか!!」



アタシの今の格好

でかいシャツを着させられてるのって

まさか



ルディ

「レナード!! お前、アタシにそういう趣味を押し付けてーーーーーっっ!!!」


レナード

「それは偶然だって!」


ルディ

「このケダモノがーーーー!!!」



アタシはレナードをポカポカと叩いた。

レナードは困ったように言う。



レナード

「そんなに言うなら、脱いでいいよー」


ルディ

「ぬっっ!!」


レナード

「え?」


ルディ

「レナードの前で!? 脱ぐ!?」


レナード

「あー、後ろ向いとこっか?」


ルディ

「向いててくれ!」



レナードは後ろを向く。

アタシはTシャツを脱ぐが



ルディ

「ん? あれれ!?」



角が引っかかって、うまく脱げない!



レナード

「ルディ? 大丈夫か?」


ルディ

「待って! 大丈夫だから!」



と言いつつも、シャツが脱げなくて、視界が見えなくて、バランスを崩しそうになる。



レナード

「ルディ、なんか大丈夫そうじゃ無さそうなんだけど? 手伝おうか?」



レナードが振り返る気配がした。

慌てるアタシ。



ルディ

「ちょっ!!!! 待ってぇ!!!」


レナード

「うわああ!!」



慌てた拍子に。

アタシはバランスを崩して、レナードと共に倒れ込んだ。


アタシの上にレナードが覆いかぶさっている。



ルディ

「あたたごめん


レナード

「いや、こっちこそ、……っ!!!」


ルディ

「?」



レナードの反応が、何か緊迫している。

アタシは目線を下げて、自分の格好を見た。


シャツをたくし上げて、胸の下の部分が見えている状態。

下に服を着てるとはいえ、そこそこ露出の高い服だから。なんか下着っぽく見える。



ルディ

「あ、あ!!」



顔が熱くなる。

レナードもそれは同じようだった。



アタシは、