【Bを選択】
ルディ
「なんか、前の客が、アタシたちのこと、ジーっと見てるんだけど…」
いわゆる、お年頃と言われるような男の子3人組が、こちらを興味深そうに見ている。
ジョシュアも振り返って見た。
ルディ
「ったく。見せ物じゃないぞ」
ジョシュア
「………」
ジョシュアは何を思ったのか。
男の子たちに向かって、ピースサインをした。
ルディ
「えぇ!? なにしてんだ!?」
すると向こうは、慌ててアタシたちを見るのをやめた。
ジョシュアはアタシに言う。
ジョシュア
「ああいうのは、反応を返してあげると、退散するものだよ」
ルディ
「へぇ〜。やるなぁ、ジョシュア」
アタシは素直に関心する。
ジョシュアは言った。
ジョシュア
「あの男の子たちにとって、僕たちはカップルにでも見えたんだろうね」
ルディ
「そんな風に見えるもんかぁ。カップルらしいこと、何にもしてないんだけどな」
ジョシュア
「そうだね。……ごめんね、ルディさん」
ルディ
「?」
ジョシュアが謝った理由が分からなかった。
彼は言う。
ジョシュア
「カップルに間違えられちゃって、ごめんね」
ルディ
「いや! 謝ることじゃないって。ジョシュアこそ、アタシとカップルに間違えられて…」
ジョシュア
「ううん。ルディさんだったら別にいいかな」
ルディ
「え?」
聞き返そうとした時、観覧車がちょうど終わりを迎えた。
+++++
ルディ
「あの〜」
ジョシュア
「うん?」
観覧車を終えて、園内を歩きながら、アタシはジョシュアに聞く。
ルディ
「ジョシュアは、アタシとだったら、カップルに間違えられてもいいの?」
ジョシュア
「悪くはないと思う」
ルディ
「えーっと…それはつまり?」
アタシは、つい期待してしまった。
もしかして、ジョシュアはアタシのこと…
ジョシュアは変わらない気難しい顔で言う。
ジョシュア
「ルディさん。答えを早急に求めないで」
ルディ
「あ…」
ジョシュア
「僕たちは今日知り合ったばかりだよ?」
ルディ
「…それもそうだな」
アタシ、何期待してたんだろう。
自分勝手な想像に、自己嫌悪になる。
ジョシュア
「だから、また会おう」
ルディ
「!」
ジョシュアは微笑んだ。
初めて、笑った顔を見た。
ジョシュア
「ひとまずは、また明日」
アタシは、なんだか嬉しくなった。
ジョシュアが笑顔を向けてくれたこと。
また会おうと、言ってもらえたこと。
アタシは笑顔で返事を返した。
ルディ
「うん! また明日!」
時刻は夕方。
アタシたちは、それぞれの帰路に着く。
ジョシュアとは、また会いたい。
明日はもちろん。
またいつか。
必ず、会いたい。
+++++
1年後。
陸地の階にて。
ルディ
「久しぶり、ジョシュア」
ジョシュア
「ルディさん」
ジョシュアは優しい笑顔を向けて言った。
ジョシュア
「会いたかった」
アタシも。
ずっとジョシュアに、会いたかったよ。
END【笑顔の再会】